大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(行ナ)20号 判決

被告の商標が、措置令第七条第一項第三号にいう「国内において広く認識されている。」かどうかについて判断する。

先ずその成立に争のない乙第一、二号証によれば、被告は、(一)地球の図形(その中央部を、稍左下から右上に向つて、「SLICE THE GLOBE WAY」の文字を記載したリボンで取りまかれている。)を中心とし、その上部に「GLOBE」その下部に「SLICING MACHINE CO,INC. NEW YORK,U.S.A」のいずれも普通書体による英文字を二重線で記載して構成される商標(アメリカ合衆国登録第四二一一五七号商標)及び(二)両端が円弧で上下が直線となつている、輪廓に「Globe」の文字を綴字体で記載し、輪廓内の文字以外の部分を、梨地に塗りつぶして構成される商標(アメリカ合衆国登録第四二一一六九号商標)を所有し、これを鳥獣肉、魚肉、乾酪、果物、野菜、パンの薄截機に使用していることが認められる。

次いでその成立に争のない乙第四、五、六号証、甲第六号証及び当裁判所が真正に成立したと認める乙第三号証、乙第七、八号証を綜合すれば、米国雑誌「CHAIN STORE AGE」千九百三十五年七月号第七十八頁には、全頁にわたり、また同「AMERICAN EXPORTER」同年九月号第五十七頁には、半頁にわたり、いずれも被告会社の「GLOBE MODEL 40」の薄截機の広告が記載されていること。かかる広告は、前述の号の外にも、時折これらの雑誌に記載されていたこと。右両雑誌とも、昭和十一年(千九百三十六年)以前丸善株式会社において、一般予約を取り扱い、前者は、大正十五年十一月から昭和十二年八月まで、株式会社明治屋において購読し、昭和十二年一月現在の東京商業会議所図書館の洋書分類目録に登載せられていること。後者は、千九百三十五年(昭和十年)中において、一ヶ月平均五百二十三部ずつ日本及び朝鮮に頒布せられていたこと。及び食料品、肉機械、コーヒー機械等を輸入していた株式会社明治屋においては、被告会社及びその商標を知つていたことが認められる。

しかしながら、被告会社の前述の各商標が、わが国において登録されていないものであることは、弁論の全趣旨に徴して明白であるばかりでなく、被告会社の前記商標を使用した各薄截機が、曾てわが国に輸入販売せられた事実も、これを認めるに足りる証拠がない。また前記乙第五、六号証によれば、右両雑誌は、アメリカ合衆国の各種商品の広告を無数に掲載している英文の月刊雑誌であることが認められ、(前述の「AMERICAN EXPORTER」千九百三十五年九月号を例にとれば、同誌は、表紙を含めて百十頁からなり、うち八十四頁にわたり、約二百三十に近い米国の会社が、その商品についての広告を掲載している。)しかも、これが先に認定した一部輸入業者の外に、原告の登録商標の指定商品である汽罐、汽機、織機、紡績機、裁縫機、印刷機、揚水機、消火機、潜水機、バルブコツク、皮革調帯、護膜調帯、綿布調帯、護膜ホース、布ホース、アスペストパツキング、ゴムパツキング、その他他類に属しない機械器具及びその各部の取引者又は需要者の間に、どの程度知られていたかすら、これを認めるに足りる証拠はない。

以上各般の事実を、その当時におけるわが国の普通英文月刊雑誌に対する一般の認識状態と、併せて考察すれば、特に被告会社の商品について作成されたカタログ等が、相当多数わが国に輸入頒布せられた場合とは、その性質を異にし、先に認定した事実だけでは、未だ被告会社の商標が、わが国内において、広く認識されていたものとは解されない。

審決は、この点について、被告の商標が当業者間に認識されていたことを認定しているが、その引用にかかる証拠によれば、前述のように、単に一部の食料品関係の輸出入業において、これを知つていた事実を認めることができるのにすぎないから、これを立証する実質的な証拠をかき、当裁判所を拘束しないものといわなければならない。

以上を外にして、被告会社の商標が、国内において広く認識されていることを認めるに足りる証拠は全然ないから、原告の商標について、措置令第七条第一項第三号を適用した審決は、他の争点に対する判断をまつまでもなく、この点において違法であつて、取消を免れない。

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